コラム 2023.03.08
はるまき家インターンレポート 「はるまき王子って誰?」
「最近SNSでよく見るはるまき王子って誰?」
こんな疑問を持った人は多いんじゃないでしょうか。最近になってSNS、TV等でよく聞くようになったはるまき王子とは何者なのか。そして、はるまき王子が経営するはるまき家の正体とは、、、。本レポートでは私(ふたば)が2日間のはるまき家インターンでの経験を基に、その真相に迫っていきます。
私とはるまき王子の出会い
私とはるまき王子ことさとおさんの出会いは2022年4月、私が(株)ガクトラボという企業で長期インターンをしていた頃に遡ります。さとおさんとガクトラボの社長が繋がっていたことがきっかけで、ある日zoomでさとおさんとお話する機会がありました。その時にさとおさんは元日本1のバリバリ営業マンであること、2年前にお母さんと一緒にはるまき家を立ち上げたこと、次の日には兼六園での移動販売を予定していることを知りました。卒業後に営業職に就くことが決まっていた私にとって、そんな人と直接話せるのはものすごいビッグチャンスです。営業について、いろいろ聞きに行こう!ということで次の日に兼六園に行きました。
到着するやいなやさとおさんが私に気づいて「試食!」とはるまきを渡してくれました。そこで食べた初めてのはるまきの味は、、、
う、うまい!!!
あの時の衝撃は今でも忘れられません。こうして私ははるまき家の虜になったわけです。
はるまき王子の謎3選
さとおさんは謎の多い人物です。「どうしてそんなことを?」と疑問に思ったことは1度や2度じゃありません。そんなさとおさんの謎を今回は3つほど紹介します。
その1 試食配りすぎ問題
さとおさんはとにかく試食を配ります。店の前で立ち止まってる人、少し前を通っただけの人、本当に誰にでも配りまくります。試食といってもはるまきまるまる1本あげちゃうこともあります。なぜ大事なはるまきをそんなに簡単にあげられちゃうんだろう、、、
その2 女子高生にはるまき無料配布事件
試食配りすぎ問題を特に象徴するのがこの事件です。私がさとおさんに初めてあった日はお花見シーズン真っ只中で、兼六園は多くの人で賑わっていました。その中には桜と一緒に写真をとる女子高生の集団も。楽しそうだな~と横目で眺めていると、
「ちょっとあの子たちにはるまきあげるし、呼んできて」
とさとおさん。言われた通り呼ぶと、7、8人ほどはいる女子高生1人1人にはるまきをまるまる1本あげていました。お店の前に立ち止まったわけでもなく、知り合いでもなんでもない、ただ近くにいただけの子たちに1本250円のはるまきをあげちゃうなんて、、、私には到底理解できない気前の良さです。
その3 大学生に経験させたがる
さとおさんは前述のガクトラボのインターン生を始め、積極的に大学生と交流する機会を作ってくれます。ドライブやサウナ、はるまき家の場所で「BARはるまき」と称してみんなで語り合う機会を作ってくれるなど、交流の仕方は様々です。時には「ふたばが一番喜ぶお菓子を持ってきた人が優勝」なんてゲームを開催してくれることも。こんな様子で大学生だけではできないような経験をさせてくれます。お礼を言うとさとおさんは決まって「これは君たちに対するgiveだから」と言います。
、、、”give”ってなんだろう?
インターンをすることになったわけ
そんなさとおさんのことが私はかなり好きで、金沢駅でのバイトの休憩中やバイト帰りによくお店に寄っていました。さとおさん一人の時もあればお母さんやお兄さんがいることも、時には大学生インターン生がいることもありました。大学生インターンをしている様子を眺めながら私は「さとおさん、いつインターンに誘ってくれるんだろう?」と思っていました。
特に何も言われず数カ月を過ごし、ある日ついに「私もインターンやってみたいんですけど、、、」と話をしました。すると、
「よく言ってくれたね!早速日程を決めてやろう!」
とさとおさん。
今までの音沙汰なしが嘘のように速攻でインターンをすることが決まりました。後々聞くとインターンの参加条件が「自分から志願すること」だったそう。受け身だった自分が恥ずかしくなると同時に、やっとはるまき家インターンが出来ることにわくわくしてその日が来るのを待ちました。
インターン1日目スタート
インターンが始まりました。私がインターンの中で達成したいこととして挙げたことはこの2つ。
①さとおさんから営業力を吸収すること
②はるまき家のファンを増やすこと
この2つの達成のために、更に細かい目標を立てていきました。
①さとおさんから営業力を吸収すること
この2日間はさとおさんを基本的に独り占めできます。さとおさんのパーソナリティの面白さに気を取られて今まで聞けていなかった営業のことについて直接ゆっくり聞けるのはおそらく最初で最後のチャンスです。さとおさんから直接考え方について聞く+自分の目でみて学ぶ、の2つでこの目標達成を目指しました。
②はるまき家のファンを増やすこと
大学生活でかなりお世話になったさとおさん。2月で金沢から引っ越す私が直接はるまき家に貢献できるのもこれまたラストチャンスです。服屋さんのバイトで接客経験を積んでいたので正直接客スキルには自信がありました。さとおさんの営業力を学んで自分自身を成長させると同時に、自分の力ではるまき家に、さとおさんに恩返しがしたい。そんな気持ちで設定しました。
私の課題①:「間」を作るということ
さて、インターンが始まり接客をしていくにあたって自分の課題が大きく分けて2つ見えてきました。
1つ目は「間」を作ること。はるまき家の接客は基本的に
①立ち止まっている人に試食を渡す
②今日ある味を説明する
③お買い上げ
④はるまきを渡す
という流れになっています。
私の問題は①でした。フローを意識しすぎるあまり、とにかく早く試食を渡そう、試食を渡したらすぐに②に移ろう、とせわしなく動いてしまっていました。お店にくるやいなや即試食、試食を食べたら即説明では買ってほしい感が見え見えでお客さんにとって心地よい接客とは言えません。ただ流れ通りに動くのは接客というよりはただのレジ打ちです。はるまきを売るだけではなくはるまき家ではるまきを買うという行動を楽しんでもらうことに重きを置き、お客さんが来てから試食を勧めるまで、試食を食べてもらってから味の説明をするまで、間を持たせることが課題になりました。
私の課題②:相手に合わせた接客をすること
お客さんは会話を楽しみながらゆっくり買いたい人、時間がなくてとにかく買えればいいと思っている人、時間はあるが会話はそこまで求めていない人など様々です。私はお客さんに楽しい時間を過ごしてもらおうと、誰に対しても会話を生もうと仕掛けていました。会話を楽しみたい人には喜ばれましたが時間が無い人にそんなことをしては逆効果です。良い接客とは相手を観察し、相手が求めている時間を提供することです。自分がしていたのは自分のしたいコミュニケーションの押し付けだと気づきました。自分は今まで本当の接客が出来ていたんだろうか?と考えました。
こうして最初の目標2つに加えて、この2つの課題を解決することも2日間のテーマになりました。
“give”の真実
お客さんのいない時は、さとおさんが私に営業の考え方や簡単なクイズを出すお勉強タイムです。お店を経営するということ、どうしたら良いお店になるか、どうしたらいい営業マンになれるかなど、色々なことを教えてくれました。そんな中で気になっていた”give”についての説明も。
「giveとは自分が何かを与えることで相手にプラスの感情になってもらうこと。自分が出来るgiveを考えてみて。自分の持ってるgiveのカードに気づいて、giveのカードを増やして、それを使っていくことが大切」
私にできるgiveって?
そんな話を聞いて自分持っているgiveのカードについて考えてみましたがなかなか思いつきません。私は今まで誰かにgiveできていたんだろうか。そもそも私にgiveのカードはあるんだろうか。そんなことを考えているとお客さんがやってきました。大きなキャリーバックをもったお母さんと高校生くらいの女の子。これから受験のために東京行きの新幹線に乗るところだそうです。緊張顔つきの親子の姿が、4年前北海道から受験のために初めて金沢に来た自分と母の姿と重なりました。
「不安ですよね。私も4年前同じように北海道から金沢へ来たのでわかります」
「無事合格し、こうして金沢にやってきました。新しい土地に馴染めるか不安だったけど、今は金沢で楽しく過ごしています」
「緊張すると思いますが、肩の力を抜いて頑張ってください。未来は明るいです!」
こんな感じの話をして、2人ははるまきを持って新幹線乗り場へ向かっていきました。
「今のこそがふたばにしかできないgiveだよ」
その様子を見ていたさとおさんが言いました。
「地元から離れた土地へ受験することはお母さんにとっても本人にとっても不安なこと。だから同じような経験をして新しい土地で楽しく過ごしているふたばの話は2人にとってとても嬉しいものだったと思う。ふたばの過去の経験というgiveのカードで、そのカードを欲している人にgiveできたんだよ!」
すごく腑に落ちました。これがgiveか、物をあげたりすることだけではなく、自分の経験を共有することもgiveになるんだ。一気にgiveへの理解が深まりました。この経験を基に考えてみると、受験の経験だけではなく、自分の知識やバックグラウンドなど、自分の持っているgiveカードは色々あるんだと気づきました。
2日目スタート
2日目になりました。回数を重ねるにつれて間をつくること、相手のニーズを見抜くことがだんだん出来るようになりました。お客さんが手持無沙汰になるまでは声をかけるのを待つ、カバンの大きさで旅行客か地元の方か、財布を出すスピードで急いでいるのかそうではないのかを判断するなど、自分の中で良い接客をするためのノウハウが見えてきました。お客さんが増えてバタバタしてくると機械的になってしまうこともありました。そんな時は一度息を整え、学びを思い出していくように意識していきました。
さとおさんが生み出すgiveの連鎖
はるまき家にいると、買いに来ただけじゃないお客さんもたくさんやってきます。
「これ、飲み物よかったらどうぞ!」
「いつもサービスしてくれるから、このからあげよかったら食べて!」
そんな風に言って何かを持ってきてくれる人がちらほらいました。さとおさんがはるまきをサービスしたり、はるまき家で楽しい時間を提供するというgiveをしていることでこの人たちはさとおさんにgiveをし返しにきます。
「周りのみんなに配るから、5箱ください!」
こんなお客さんもいます。さとおさんのgiveを受けて、そのgiveをさとおさんだけではなく他の人にも与えている訳です。
「自分がしたgiveによって相手がgiveをしたくなる。更にその人にgiveされた人はまたgiveをする。こうして自分が始まりでgiveのプラスの波が起こることってめちゃめちゃ嬉しいことだと思うんだよね」
さとおさんはこう話します。
今までのさとおさんの謎がすべて明らかになりました。試食をたくさん配るのも、見知らぬ女子高生たちにはるまきをプレゼントするのも、大学生にたくさん経験させてくれるのも、すべてはgiveの波の始まりだったのか!
そんなことを考えていると常連の方がくれたというチョコをさとおさんに渡されました。
「これさっき来たお客さんがふたばへだって。頑張ってねって言ってたよ」
う、うれしい、、、
私も気づけばさとおさんのgiveの波の渦中にいたんだと気づきました。私もさとおさんからもらったgiveを返していきたい。いや、自分もさとおさんの様にgiveの波を起こしたい。そう心から思いました。
来てくれるみんな
私がインターンをしていた2日間、大学の友達やガクトラボの関係者の方たち、バイト先の人など、延べ10人以上がはるまき家に来てくれました。みんながわざわざ買いに来てくれるのは私に対するgiveで、来てくれる理由は私がみんなに何かしらのgiveを与えられていたからではないかと考えました。そして私目的で初めてはるまき家に来た人がはるまき家のファンになることは私からさとおさんへのgiveになることに気づきました。
すごく嬉しいことです。自分からgiveを始めること、周りがそれに応えてくれること。この感覚を大切にしていきたいと心から思いました。
目標を振り返って
あっという間に2日間のインターンが終了しました。
①さとおさんから営業力を吸収すること
②はるまき家のファンを増やすこと
この2つの目標について、正直頭から離れていることも多々ありました。しかし、さとおさんのお話を聞いたり、周りの人を呼んだりすることによって気づいたら目標が達成されていました。目標を設定したからこそ得られる達成感、色々悩んだからこそ得られた学びなのではないかと感じています。大学生活ラストの良い時間を過ごせて大満足の2日間でした!
最後に、、、結局はるまき王子って何者?
さて、最後に冒頭の問いの私としての答えを書いてこのレポートは終わりにしたいと思います。
はるまき王子とは、
「giveをし続け、プラスの波を起こし続けることにこだわる人」
です。
はるまき王子は今日もどこかで(多分はるまき家で)誰かにgiveをしているでしょう。
おわり
あとがき
はるまき家インターンは本当に学びの多い2日間でした。受け入れていただいたさとおさん、温かいお昼ごはんを作ってくれたさとおさんのお母さん、来てくれた方々、本当にありがとうございました!お世話になったみなさんにgive返します!
ふたば
はるまき家のホームページはこちら↓
https://harumakiya.com/
お店情報
はるまき家
金沢の春巻き専門店
090-1632-2481
11:00~17:00
※月・火曜日はお休みです
専用の駐車場が3台あります
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